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元旦生まれで、何事においても一番でなくては気がすまない。時には頑なすぎると揶揄されることもあるが、それでも完成した麺を口にすると、そのこだわりに合点がいく。そういう手延べ麺職人が小西照行さんだ。
小西さんの朝は、小豆島に約250人といわれる手延べ麺職人のなかで、おそらく最も早い。毎朝3時には作業場に入り おでと呼ばれる、材料を合わせるための作業の準備にかかる。その日の気温と湿度を肌で感じ、小麦粉を手に取り量り始めるのだ。
しかし天気が悪くなりそうだと感じた日には、さっさと作業場から引き上げてしまい、小麦には手を触れない。手延べ麺は、天候や湿度に大きく左右されるため、明らかに並みの麺になってしまうと予想される日には、麺は作らない。これが小西さんの手延べ麺に対する姿勢なのだ。 |
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その日の天候を読みながらのおで作業。そこでは小麦と塩水の加減を微妙に調整し、生地を作り上げていくのだが、実はこの作業こそ麺の出来を決めるといっても過言ではないほどの重要な作業なのだ。
職人によって個人差があるが、小西さんの場合、おで作業に30〜40分強をかける。機械のなかで小麦粉と塩水が混じり合うのをみながら、何度もその中に手を伸ばして生地の出来具合を確認する。すると、ほんの数分間だけ生地が手からすっと離れる瞬間があり、そのタイミングが、おで作業の終了の合図だという。それ以上でもそれ以下でも思い通りの麺はできない。小西さんにしかわからないタイミングであるが、生地が放つ一瞬のタイミングを掴むまでに約5年を要したという。
こうして大きな塊となった生地は、全9工程、約30時間をかけて手延べ麺となるのだが小西さんはどの工程においても、生地の状態を最優先しながら、作業の工程や熟成時間を微妙に調整していく。
生地はなまものだから、作り手の思うようにはなかなか動いてくれない。その日によって極端に表情を変えることもある。しかしそのことを楽しめるか、そうでなければ無視するか、それが腕の違いなのだということに、小西さんの作業を通じて気付かされる。 |
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小西さんは小麦の選択にも、とりわけこだわりを持っていて、手延べではあまり使われることのないグルテンが少ない小麦粉を好んで使用しているのだが、グルテンが少ないと、作業の際、生地が延びにくく扱いに手間がかかり、熟成にも長い時間を要してしまう。反面、熟成の間に生まれた旨みやコシが麺に如実に反映されるため、出来あがった麺は弾力に富み、噛むとふっくらとした小麦の甘さが楽しめる。
また、小西さんが作る麺は茹で時間に17〜30分と幅をもたせているのも特徴のひとつだ。30時間かけて完成した麺は茹で時間によっても微妙に食味が変わるため、いろいろな表情を楽しんでもらいたいとの気持ちからだ。30分茹でたものを冷水でしめた麺は、柔和さとコシの強さを兼ねそなえ、なんとも美味であるが、中火で茹でることが肝要なのだそうだ。 |
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手延べ麺に限らず、職人と呼ばれる人々は、その商品がいかに手間がかかり、精魂こめて作られているかを一番知っている。だから自分の商品に対しての自負心も強くなる。もちろん小西さんもその一人だ。
しかし、その価値を判断するのはお客さんだし、食べ物が嗜好品である限り10人が10人全員美味しいという麺はない。「だから私は10人のうち7人が心から美味しいと思ってくれる麺を作りたいんだ。」奢らず、侮ることなく、小麦粉と向かい合う小西さんは、今日も力強い麺を生んでいく。 |
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| 手延べは1人でできる作業ではない。夫婦が力を合わせての仕事である。 |
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| 小西さんは素麺も作る。夏場が主流だが、冬でも多くの注文が入るという。 |
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| 作業場から100mほどの所には、オリーブやみかんの畑がある。小豆島ならではの風景だ。 |
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