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こだわりの食を求めて 取材日記

2001/11/23 じぶ煮

今まで取材した土地の中で、一番好きなところは?と聞かれたら、まず『金沢・能登』と答えますね。まず、街に風情がある。すばらしい。京都の華やかさと北陸の穏やかさを両方兼ね備えたような、風情あふれる町並みのなかにいると、こんな野趣あふれる性格のわたしでも、なんだか、ほっくりとした、しとやかな気持ちになってしまうんですよね〜。それにね、なんといっても食べ物が旨い。氷見のブリ、卵を抱えたコウバコ(ずわいがにのメス)、一度食べてすっかり魅了されてしまった旬の時期のノドグロなどなどなど。思い出しただけでも、あぁもぅ恋しいなぁ。恋しい、恋しい。

そして、海の幸もさることながら、わたしのイチオシなのが、じぶ煮!ご存知ですか? じぶ煮。わたしは、この仕事をするまでは恥ずかしながら知らなかったんですけどね、金沢に古くから伝わる郷土料理なんです。じぶ煮は、スライスした鴨肉(鳥肉)に小麦粉をまぶして焼いたものや、お麩、季節の野菜などを椀の中に並べて、とろみのあるじぶだれをかけたもの。このじぶだれが美味しさの重要なポイントなんです。そして、じぶ煮の美味しさをわたしに教えてくれたのが、金沢で料理研究家をしている青木悦子先生なんです。

青木先生は、わたしの母親と同じくらいの年齢なんですけど、フットワークがすごく軽くて、そのうえめちゃくちゃ研究熱心な方なんです。金沢の長町(武家屋敷が並ぶところ)で、お店も出しているのです。青木先生が作るじぶ煮は、鴨の煮汁をたっぷり使ったじぶだれが自慢で、もうホントに上品な味つけで、奥行きが深いのです。それに、たれのとろみの加減の絶妙なこと!この、とろみ加減にわたしはすっかりハマっちゃいました。すぅっと舌の上に広がっていくような柔らかなとろみのじぶたれが、味に膨らみを与えて、そのぬくもりは身体を芯から温めてくれるようです。なんと奥行きのあるお料理だろうか。青木先生のところは、機械製造とは程遠い、ひと椀ごとの手作り。ここまで美味しいじぶ煮は、なかなか出会えないですよ。 

〈取材・文 猪口由美〉
じぶ煮 3食
じぶ煮 6食

取材時の写真

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