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こだわりの食を求めて 取材日記

2003/02/28 干しくちこ<その1>

左に大迫力の日本海を堪能しながら、能登有料道路を抜け、むかうは石川でも屈指の癒しの里、和倉温泉のある七尾市。めざすはこの時期にしか味わえないという「新モノ」の干しくちこ。くちこっていうのは、海鼠(なまこ)の卵巣のことなんですけどね、今の時期にしか獲れず、且つ水揚げした海鼠全てにあるわけではない、とても稀少なもの。その歴史は古く、奈良の都・平城宮にも日本酒の肴として献上されていたほど由緒あるものなんですって。

七尾の港のすぐ横にある作業場につくと、大小入り混じったなまこが桶の中にぎっちりと詰められ、それを職人さん達が一体ずつ手にとって包丁でプシュッと穴をあけ、くちこや海鼠腸(このわた=なまこの腸)を手馴れた手つきでしゃしゃっと取り出しているところ。こんな軟体動物の腹のなかの紐を最初に食べてみようと思ったヒトって、すごい勇気よね〜、などと頭の中で思いを巡らせていたらこの道何十年というベテランのおばちゃんが、中の砂をとってきれいにしたくちこを『食べていいよ』と掌にのせてくれました。あ、どうもすみません、じゃぁ遠慮なく。と、するりと口のなかにいれてみてびっくり!う・まっ・いーっ!(目がテン・さらにウロコもぽろり)思わず口から飛び出したこの言葉は、作業場のなかに、くまなく響き渡ったらしくまわりの職人さんは大笑い。だって、びっくりしちゃったんだもん。あまりのコクに。海の匂いがいっぱいで、後味は果てしなく芳醇。叫んだ後も、3分くらいは旨みが舌の上に持続し、頭の中では、すでに一人手酌が始まっている。極上の珍味ですわ。それも超・酒好きのヒトのための珍味!困ったわ。レンタカーだわ。いや、その前に、まだ仕事中だわ。

この旨みを知ってしまったわたしの肝臓は、今後どうなることかとひとり頭を抱えていた所に、生産者のおじさんが「作業場は、もういい?じゃ、干し場に行くよ」「あ、はい。お願いします」ということで、移動。車中、生のくちこの旨みを更に凌ぐんだと生産者がいう干しくちこ。それも、海鼠のなかで最高とされる赤海鼠のものだって!どうやって作るんだろう?

つづく。

〈取材・文 猪口由美〉
くちこ
干くちこ
海鼠腸・干くちこギフトセット

取材時の写真

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