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こだわりの食を求めて 取材日記

2005/02/18 幻の塩数の子 その2

北海道ではお馴染みの魚、ニシン。そのニシンの卵からつくる数の子は、お正月にはかかせない食材ですが、北海道の鮨屋では、2月後半から3月にかけて春の食材としてよく食されるネタ。北海道では、春告魚なんですね。

ただ、現在店頭などでみかける数の子は、遠洋のものが殆どで、カチンカチンに凍ったまま陸揚げされるニシンの魚卵は、解凍、漂白、洗浄、着色や発色などを施されて、たっぷりと調味料を含ませているため、数の子の形はあれど、味はなし。


そんな現状を決して好しと思ってない吉崎さんは、北海道の中央市場で長い経験を持つ目利きのプロ。通称・おっちゃん。


おっちゃんがこだわるのは、鮮度。特に魚卵は、水揚げ後いかに短時間で処理したかで、仕上がりに雲泥の差がでてしまうもの。


北海道の厚田漁港で水揚げされるニシンが道内でも特に鮮度がよい理由は沖合い数百メートルもいかない漁場で網を張り短時間で水揚げするからで、漁法も刺し網なので、まき網などと違い、魚体の傷みが少ないんです。


ちなみに、厚田で水揚げされるニシンは、多くが3〜4年魚。数の子にするには丁度いい熟し加減の卵を擁しているものが多いそうです。


このニシンを、札幌の工場に運び、すぐに採卵。その後、魚卵を包んでいる薄い膜を手作業で丁寧に取り去り、血合いを洗い流し、選別。


魚に十月十日(とつきとうか)という言葉は変ですが、同じ時期に捕れたニシンでも、卵の成長度合いはそれぞれちがう。


「セコムの食」の商品になる数の子に未熟卵が混じらないように、工場の職人さんたちは、一腹ずつ手にして選別し、いい卵だけを、そーーーっと淡い塩水のトレーのなかに浮かべます。


この時点では、魚卵はまだ柔らかく、まるで首のすわってない赤ちゃんのように、手荒く扱うとくにゃっと折れそうなほどデリケート。


その様子を取材していると、おっちゃんから『卵を触ってみぃ』と言われ、塩水のなかに手を入れ卵を触ってみてびっくり。
 
卵がにトレーにピタッと吸い付いているんです。くっついている、というより吸盤でピタッと固定してる感じ。


これは、海の中で放卵された卵が、自らを安定させるために海藻などにピタッと身を寄せる習性が、形を変えてトレーの中で行われているもの。


たとえば、おっきな生簀のようなもののなかに昆布を入れ(育て)、卵を抱えたニシンを大量に集めて放卵させれば、卵が昆布に吸い付いて子持ち昆布の出来上がり。海外では、よく行われている技術のようです。


さきほど、淡い塩水に浮かべた数の子は、徐々に濃度の高い海水に浮かべなおし、そのたびに形が安定してくるのですが、おっちゃん曰く、この塩加減に最も神経を使うんだそうです。


いきなり濃い塩水につけると魚卵が締まり過ぎて硬くなりかといって、ゆっくりしすぎると折角の鮮度が意味をなさない。


数の子を扱うおっちゃんの手は、その豪快な性格からは想像できないほどものすごく慎重で、その動きからは商品に対しての姿勢がひしひしと伝わってくる。 


おっちゃんが少し優しい口調になったところで、勇気を持ってきいてみた。「あの、2年前にここで取材したときに、食べさせてもらった数の子が忘れられないんですけど、あれって何だったんですか?」


『あぁ、生数の子だろ』


生数の子、とおっちゃんが呼んでいるのは、淡い海水で軽く身を締めた程度の数の子のこと。


「セコムの食」でご紹介している商品は、塩水で身を締めたあと急速冷凍をかけるのですが、この生数の子は冷凍する前のものでその美味しさを口にすることが出来るのは、製造に携わっている人くらい。


市場にも、春先に「生数の子」という名目で販売しているものがあるそうなのですが、そちらのほうはおっちゃんほど鮮度に対しての意識が高くないようで、一度漂白したりするものが多いのだとか。当然、旨みも違ってきますよね。


ここで、再度勇気を持って、おっちゃんに言ってみた。「これ、また食べてもいいですか?」 

『いいよ』

やったーーーっ。バンザーイ!!


果たして、現場のものしか口にすることが出来ない生数の子は卵一粒一粒がパンッと張っていて、噛むとキュッ、キュッと鼓膜に響く音がして4回くらい噛んだころから、ニシンの卵ならではの、はかなさの伴う深い旨みがじんわ〜りと広がり、食べた後2時間くらいは、どんなにイヤなことがあっても平気で許せちゃうほど、幸せの余韻が続きました。
 
ガツン、ではなく、はかない旨み。そこがいいの。


残念ながら、こちらの方はあまりにも賞味期限が短い上にデリケートな商品で刻々と品質が劣化するため皆様のもとにお届けすることが出来ないのです。申し訳ありません。


だけど、こんなに旨いものを知ったからには、わたしだけの楽しみにしておくのはもったいなさすぎる。ここでもう一度、最後の勇気を振り絞って、おっちゃんにお願いしてみた。


「あの、、、、、今度すごい食通が集まる会があるんですけどね、その人たちにも、こーんなに美味しいの、、、教えたいなぁ」(徐々に小声)

『いいよ。会社に送ってやるよ』


やったーーっ! おっちゃん、いい人や、いい人や。わたしがコワイと思っているだけで、実はめちゃくちゃいい人や。
 
みんな喜んでくれるといいんだけどなぁ。。。。

今年のニシン漁はは例年よりも、やや豊漁とのこと。おっちゃん、今年も美味しい数の子、仕込んでね!


〈取材・文 猪口由美〉
幻の塩数の子
   

取材時の写真

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