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こだわりの食を求めて 取材日記

2007/04/27 小笠原取材日記<その1>

この仕事を始めてからというもの、数多くの離島で取材を重ねてきましたが、とうとう行くことになってしまった小笠原諸島。

小笠原諸島は、東京都とはいえ、都心部から約1000キロ離れたところにある島々で、現地に行く手段は「おがさわら丸」という船のみ。

したがって、小笠原に行くためには25時間以上の船旅が必須なんです。

とはいえ1ヶ所の取材で1週間も費やすのは、わたしの業務上そうそう簡単なことではない。なんとか船を回避することはできないかと思案し、1フロア下の階にある総務部に相談。

実はセコムはヘリコプターを所有していて、管轄の航空サービス部門に、出張のために飛ばしてもらうことが 可能かと問い合わせたんです。 すると・・。

『そりゃ無理だね!八丈島くらいまでなら行けるけど、小笠原までは燃料がもたない。ま、自衛隊なら飛ぶけど』と機長自ら、即答。

往生際のわるいわたしも、さすがに諦め船を予約。出張前日には、いつもの3倍にふくれ上がった荷物を 大きめのキャリーバッグに詰め込み、不測の事態に備えるため、水着も一応準備しておく。

そして迎えた出張当日。曇り空の日曜日の朝。

船が停泊している竹芝桟橋に向かうと、桟橋の近くのコンビニにはこれから船に乗る人たちが、長蛇の列を作ってレジを待っている。

え?船には食堂と売店があったはずなんだけど、どうしてみんな競うように大量に食べ物を買っているんだろう?

だけど、その光景を目の当たりにすると、なぜか自分も並んでしまいたくなるのは、妙なもの。

結局、わたしもそこで飲み物とおにぎりを買い込み、出港15分前の9時45分に、おがさわら丸に乗船。

旅客定員1043名というおがさわら丸は、ゴールデンウィークなどは息もつけぬほど混むのだそうだけど、この日の乗客はまだ少ない。

出港時に鳴らされる仰々しいほどの銅鑼(ドラ)の音をデッキで聞きながら、いざ25時間半の船旅へ。

最初の1時間ほどは、さながら屋形船気分でお台場やベイブリッジを眺めていたものの、それから先はひたすら海、海、海。風もかなり強くなってきた。さ、寒い!

予約した席は、寝台列車のようになっていて、かなり狭い。そこに横になり、何冊も買い込んできた文庫本を次々に読み続けるもののそれも数時間で飽きてくる。

ふぅぅ。暇だ。 わたしにとって、暇ほどつらいものはない。あと何時間乗ってるんだろう? いや、それは考えるまい。 もっとつらくなる。

あ、そうだ。
パソコンがあるから、原稿でも作ろうかな、と 廊下に備え付けてある長椅子に座り、仕事開始。

でも、1時間くらい頑張ったところで、ギブアップ。

まずい。ここが船だってこと、忘れてた。いくら凪ぎの海でも、間違いなく揺れているわけでふと気が付くと、胃がズーンと重くなってきた。

やっと夕方になり、船内のレストランで食事をするものの、どうやら波は徐々に強くなってきている模様で、 遊園地のアトラクションにでも乗っているかのようにおおきく傾き始め、まったく食べた気がしない。

そのうえ、夜になってからは殆どやることがないし、24時間使えるというシャワー室に入ったら入ったで、揺れた勢いで石鹸の泡を踏み、危うく転びそうになる。

いろんな出張に行ったけど、一人旅をこんなに持て余したことはなかったなぁ。 とにかくもう、寝るしかない。

ほとんど意地になって寝るように努力した翌朝、はるか遠くの海に浮かぶ小笠原諸島を目にしたあたりから わたしの中で息を潜めていたパワーが俄然よみがえってきた。

よっしゃーっ。陸だ〜。

さらに航海は続き、それから3時間後にやっと小笠原の父島に到着。
だけど、まだ気は緩められない。

今回の目的地は、父島からさらに50キロほど先にある母島。 

ゆえに父島には、ほんの一瞬立ち寄る程度で、次は「おがさわら丸」の10分の1ほどの大きさの「ははじま丸」に乗り込まなければならない。

そしてこれが、結構揺れた!

波の状態がよければ、ホエールウォッチングができるはずだったのに、そんな悠長な時間などありゃしない。

心身ともに疲れ果てたなか、それでも何とか母島にたどり着いたのは、竹島桟橋を出港してから、実に29時間後のこと。

さらに、母島に上陸したあと、疲れた身体にムチ打って 周囲を探索していたら、突然のスコールがザーッ!走って宿まで戻るまでに、服はびしょびしょ。

あ〜もぅ  神様〜。

このスコールで、東京から引きずってきた疲れがぜーんぶ洗い流されて、明日の取材当日にはたくさんの収穫がありますようにーっ!

おねがいしますよーっ!

 ・・・つづく。

〈取材・文 猪口由美〉
小笠原のラム酒

取材時の写真

取材時の写真

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