「セコムの食」の商品には、それぞれいろんなエピソードがあります。
生産者の方からご推薦いただいたり、現地取材のときに出会ったりプライベートな時間で発見したり、などなど。
なかでも、今週の主役である「贅沢な押し寿司」との出会いと誕生は、なかなか面白いものでした。
ある日、わたしは北陸方面に取材に行っておりました。目的は、秋号の新商品である『甘エビのグラタン』の生産者の藤井シェフの取材でした。
早朝からの取材が無事終わり「ランチでもご一緒に」ということになり、藤井さんオススメのお寿司屋さんに案内してもらいました。
福井市内にあるそのお寿司屋さんは、調理長自ら魚市場に買い付けに行くほか、魚の目利きでは抜群の実力だと評判の魚河岸から仕入れているという
。
さらに価格はリーズナブルなため、連日長蛇の列なのだそう。
わたしが行ったのは、完全にランチタイムから外れた時間だったのですんなりと座れ、美味しいお寿司を堪能しました。
その後、会社で仕事をしていると、当日ご挨拶したお寿司屋さんのご主人から、1通のメールをいただきました。
『長いこと試作してやっと完成した棒寿司があるんです。ぜひ試食して下さい』という内容でした。
ご主人に連絡し、サンプルを送っていただく日を調整して届いたのは、めちゃめちゃゴージャスな棒寿司でした。
焼き鯖、生鯖、サーモン、海老、アナゴ・・・。
どれも美味しく食べたのですが、、、。わたしは、受話器を握り、生産者に連絡を入れました。
「もしもし、ご主人ですか?」
『はい、そうです。サンプル届きましたか?』
「ええ。美味しくいただきました」
『そうですか。良かったです』
「ところで、ひとつ質問があるのですが」
『え?何でしょう?』
『旨み調味料をお使いなんですけど、それを抜いていただくことはできますか?』
ん〜。 そうなんです。
「セコムの食」の選定基準では、安易に添加物に頼らない商品を掲載するということになっているので、この商品は対象外になってしまうんです。
せっかく上等の魚を仕入れて作っていらっしゃるので、できれば基準に合った商品を作ってもらいたいと思って聞いてみたのですが、ご主人からの答えは、NO。
とーっても残念だけど、基準を緩めることはできないのでこの商品とは縁がなかったんだなぁと、思うことにしました。
ところが、それから数ヶ月ほどしたある日、突然連絡が入ったのです。
『あの電話から、いろいろと反省しまして、添加物を入れないでさらに美味しいものを作ろうと、何度も作り直しをしたんです』
「反省だなんてそんな。。。。何も添加物そのものが悪いってわけじゃないんですよ。たまたまこちらの基準に沿わないだけで」
『いや、わかってます。それでやっとセコムの食の基準に合う商品を作ったので、ぜひ試食してもらいたいんですけど』
「もちろんですよ!すぐに送ってください!」
ほどなくして届いたものは、前回と遜色なく、いや、さらに美味しく なったんじゃないかと思うような仕上がりでした。
頑張ってくれたんだ! ありがたいなぁ、うれしいなぁ。
早速、感想を伝えるために生産者に電話。
「とても美味しかったです。ボリュームも素晴らしくて。ぜひ、取材に伺わせてください!」
・・・・続く。