2008年秋号では、いつもより多くの「オリジナル商品」をご紹介しています。
いずれも生産者との強い絆と、美味しいものをお届けしたいという思いが形になったもので、思い入れはひとしお。
なかでもこの商品については、感慨深いものがあるのです。
話は約2年余り前のことになると思います。
次回のカタログでお取引きを始めようとしていた、隠岐島の生産者から、あるサンプルが送られてきました。
「岩がきのドリアを作ってみました。試食してみてください」
届けられたものを見ると、大きな岩がきの殻のなかに、ホワイトソースが盛られていて、下には岩がきの身、その下には申し訳程度にライスが敷いてある。
見るからにどこかの格安パーティで見かけるようなオードブル。食べてみてもやっぱりそう。
試食の感想を求められたわたしは、言葉に詰まり
「ん〜。えーっとですね、、、えへへ。ちょっといろいろ問題があるかな。まず、容器は殻じゃないほうが、いいかな〜」と、遠回しに、お断りしました。
すると、少し経ったころ「改良しました」との連絡があり、早速送ってもらったところ、殻が市販の容器に変わっているものの味は、どうにもYESとは言い難いレベル。
ここは、彼らのためにも、バイヤーとして感じていることを伝えた方がいいだろうと、へこんでしまうんじゃないかと思うほど、たくさんの指摘をしました。
「まず、どうしてドリアなんですか?ホントに岩がきの美味しさを出したいなら、グラタンの方が伝わると思いますよ。味がブレます」
「素材が良ければそれで美味しいものができるというものではないんです。加工品は難しいんですよ」
普通は絶対に言わないんです。聞かれても言わない。
だけど、彼らの商品開発に対する思いを知っていたし、何より人間関係ができているから、あえてキツいことを言わせていただきました。
すると少し経ったころ、岩がきのグラタンのサンプルが届きました。
でも、まだダメ。
「ホワイトソースの味が平坦だし、岩がきと馴染んでない」
また、改良品が届く。
「あのですね、まずはうちで掲載している商品を食べてみてください。そのなかに、いろんな気づきがあると思いますから」
そして、それからちょっと間があいたころ「諦めてませんから」と再度サンプルが届きました。
食べてみると、これまでよりは格段に美味しくなっている。もしかして、このまま伸ばしていけば!
そう思い、先方の営業の窓口の柏谷さんに電話をしました。
「随分美味しくなってきましたね。ありがとうございます。でも、せっかくここまできたんですから、○○を変えましょうよ!」
「え?○○ですか?」
・・・つづく。